美容室と保健所の
検査・届出を、
美容師法の条文で確かめる
美容室(美容所)に保健所などの窓口が関わるのは、開設の届出、使い始める前の検査と確認、届け出た内容が変わったときの届出、立入検査の大きく4つの場面です。
それぞれで何が決まっているかを、美容師法と施行規則の条文で確かめました。
- 美容師法・施行規則の原文で確認
- 2026年10月時点の現行の条文
- 理容室(理容師法)の対応条文も掲載
「開業前の保健所の検査では、何を見られるのか」「保健所の抜き打ち検査は本当にあるのか」「スタッフが増えたら、何か届け出るのか」。 美容室を開くとき、開いたあとにも、保健所の手続きは迷いやすいところです。
このページでは、検索でよく使われる言い方にあわせて「保健所」と書いています。 法律の上で、届出を受けたり検査をしたりするのは都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では、市長・区長)です(美容師法第20条・施行規則第19条)。実際にどの窓口で受け付けるかは、お店のある自治体の案内でご確認ください。
使う条文は、2026年10月5日の時点で現行の美容師法・美容師法施行規則です(e-Gov法令検索で確認)。 手数料の金額、様式、図面などの添付書類、構造設備の細かい基準は、都道府県や市の条例・要綱で決まっていて、自治体ごとに違います。 このページは全国共通の条文の範囲をまとめたもので、お店のある自治体の案内の代わりにはなりません。
保健所などの窓口が関わる、
4つの場面
美容師法で決まっている、美容所(美容室など)の手続きの流れです。
開設の届出
開く前に・第11条第1項
検査と確認
使い始める前に・第12条
変更・廃止の届出
開店したあと・第11条第2項
立入検査
必要があると認めるとき・第14条
ポイントは、届出を出しただけでは、まだお店として使えないことです。 美容所の開設者は、構造設備について検査を受け、衛生上の措置(第13条)を講じるのに適しているという確認を受けた後でなければ、その美容所を使ってはならないとされています(美容師法第12条)。
開設の届出と、
使い始める前の検査
美容所を開設しようとする人は、あらかじめ届け出ます(美容師法第11条第1項)。
開設届に書くこと(施行規則第19条第1項)
- 美容所の名称と所在地
- 開設者の氏名と住所(法人の場合は、名称・所在地・代表者の氏名)
- 管理美容師を置く美容所の場合は、管理美容師の氏名と住所(管理美容師は下の章でご説明します)
- 美容所の構造と設備の概要
- 美容師の氏名と登録番号、そのほかの従業者の氏名
- 美容師に、結核、皮膚疾患、そのほか厚生労働大臣が指定する伝染性の疾病がある場合は、その旨
- 開設予定年月日
- 同じ場所で理容所がすでに開設されている場合はその理容所の名称、理容所の開設の届出がされている場合はその理容所の開設予定年月日
条文で決まっている添付書類
届出書には、美容師について、上の疾病があるかないかを書いた医師の診断書を付けます(施行規則第19条第2項)。 管理美容師を置く美容所では、その人が管理美容師になれる条件を満たしていることを証する書類も付けます(同条第3項)。開設者が外国人の場合は、住民票の写し(国籍等を記載したもの)も添えます(同条第4項)。
このほかに、図面や手数料などを求める自治体もあります。何を出すかは、お店のある自治体の案内でご確認ください。
「検査に通ったら開けられる」ではなく「確認を受けてから」
美容師法第12条は、美容所の開設者が、構造設備について都道府県知事の検査を受け、その構造設備が第13条の措置(次の章)を講ずるのに適している旨の確認を受けた後でなければ、その美容所を使ってはならないと定めています。 確認を受ける前に美容所を使うと、30万円以下の罰金の対象になります(第18条第3号)。
内装工事が終わる日、検査を受ける日、オープンの日の順番は、窓口に早めに相談しておくと組みやすくなります。 検査の日程の決め方や、確認までにかかる日数は、自治体ごとに違います。
税務署への開業届など、独立のときの届出全体の順番は、美容師の独立に必要な届出のページにまとめています。
出典:美容師法 第11条・第12条・第18条・第20条、美容師法施行規則 第19条(いずれもe-Gov法令検索で2026年10月5日に確認)。開設届の項目は、条文の言い回しを読みやすく短くしています。
開いたあとのメニューづくりも、
資料でご案内しています。
技術のしくみ、導入の進め方、サロン様での組み込み方までまとめた資料を、無料でお届けします。
検査で確かめられる、
お店の衛生の決まり
法律・省令で全国共通に決まっていることと、国が示している目安を分けて並べます。
美容所の開設者が講じること(美容師法第13条)
常に清潔に保つこと
施行規則第26条で、床と腰板にはコンクリート・タイル・リノリューム・板などの水を通さない材料を使うこと、洗場は流水装置とすること、ふた付きの汚物箱と毛髪箱を備えることが決まっています。
消毒設備を設けること
器具などを消毒する設備を置きます。
採光、照明及び換気を充分にすること
施行規則第27条で、美容師が作業する面の明るさは100ルクス以上、美容所内の空気1リットル中の炭酸ガスは5立方センチメートル以下と決まっています。
その他都道府県が条例で定める衛生上必要な措置
ここから先は、都道府県(保健所を設置する市・特別区では、その市・区)の条例で決まります。
美容師が施術のたびに講じること(美容師法第8条)
お店だけでなく、施術をする美容師にも決まりがあります。 皮ふに接する布片と器具を清潔に保つこと、皮ふに接する布片はお客様1人ごとに取り替え、皮ふに接する器具はお客様1人ごとに消毒すること、そのほか都道府県が条例で定める衛生上必要な措置です。
器具の消毒のしかたは、施行規則第25条で決まっています。器具を十分に洗ってから、次のどれかの方法で消毒します。
かみそりと、血液が付いた(付いた疑いのある)器具
- 沸騰後2分間以上煮沸する
- エタノール水溶液(エタノール76.9%以上81.4%以下)に10分間以上浸す
- 次亜塩素酸ナトリウム0.1%以上の水溶液に10分間以上浸す
上のほかの器具
- 1平方センチメートルあたり85マイクロワット以上の紫外線を20分間以上照射する
- 沸騰後2分間以上煮沸する
- 摂氏80度を超える湿熱に10分間以上触れさせる
- 上のエタノール水溶液に10分間以上浸すか、含ませた綿・ガーゼで表面をふく
- 次亜塩素酸ナトリウム0.01%以上、逆性石ケン0.1%以上、グルコン酸クロルヘキシジン0.05%以上、両性界面活性剤0.1%以上のどれかの水溶液に10分間以上浸す
出典:美容師法施行規則 第25条〜第27条(e-Gov法令検索で2026年10月5日に確認)。条文を読みやすく並べ替えたものです。
国が自治体に示している目安(衛生管理要領)
厚生労働省は、自治体あての通知「理容所及び美容所における衛生管理要領」で、施設や器具の管理の目安を示しています(2024年6月に一部改正)。 この通知は自治体に向けた技術的助言で、実際に何が求められるかは、お店のある自治体の条例や指導によります。要領に書かれていることの例です。
- 作業場と客の待合所を、はっきり区分すること
- 作業場の中に、従業者専用の手洗い設備を設けること
- 皮膚に接する器具類を、消毒済みのものと未消毒のものとに区別して収納するケースなどを備えること
- 洗場に給湯設備を設けること(洗場を流水装置とすることは、上の施行規則第26条の決まりです)
- 開設者は、施設や取扱いについての具体的な衛生管理要領を作り、従業者に周知徹底すること
なお、要領は作業中の作業面の明るさを300ルクス以上であることが望ましいとしていますが、これは目安で、省令(施行規則)の決まりは上の100ルクス以上です。
出典:厚生労働省「「理容所及び美容所における衛生管理要領」等の一部改正について」(令和6年6月26日 健生発0626第6号)の改正後全文 https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001403691.pdf (2026年10月5日に確認)。要領の項目は、文言を短くして抜き出しています。
開店したあとに、
届出が必要になるとき
開設届に書いたことが変わったときは、すみやかに届け出ます(美容師法第11条第2項)。
美容師を新しく雇ったとき・辞めたとき
美容師の氏名と登録番号、そのほかの従業者の氏名は、開設届に書く事項です。変わったときは変更の届出をします。美容師を新しく使う届出には、その人の医師の診断書を付けます。美容師に結核、皮膚疾患、そのほか厚生労働大臣が指定する伝染性の疾病があるかないかが変わったときも、診断書を付けて変更の届出をします(施行規則第20条)。
美容師が常時2人以上になったとき
美容師である従業者が常時2人以上の美容所では、美容所ごとに管理美容師を置かなければなりません(美容師法第12条の3第1項)。管理美容師を置いたり代えたりする届出には、その人が条件を満たすことを証する書類を付けます(施行規則第20条)。
構造設備や名称などが変わったとき
開設届に書いた構造・設備の概要や名称などが変わったときも、変更の届出の対象です。改装などで構造設備が変わる場合に、あらためて検査を受ける必要があるかどうかは、窓口にご確認ください。
美容所をやめるとき
美容所を廃止したときも、すみやかに届け出ます(美容師法第11条第2項)。
お店を譲り受けた・相続したとき
営業の譲渡や相続、法人の合併・分割で営業を引き継いだ人は、開設者の地位を承継します。その場合は、事実を証する書面を添えて、遅滞なく届け出ます(美容師法第12条の2・施行規則第20条の2〜第22条の2)。営業の譲渡で地位を承継した場合は、当分の間、承継の日から6か月以内に少なくとも1回、業務の状況の調査が行われることになっています(令和5年法律第52号 附則第9条第2項)。
管理美容師になれる人
管理美容師は、美容師の免許を受けた後3年以上美容の業務に従事し、かつ、都道府県知事が指定した講習会の課程を修了した人でなければなりません(美容師法第12条の3第2項)。 講習会の基準は、「公衆衛生」4時間以上、「美容所の衛生管理」14時間以上の科目を教えることなどです(施行規則第23条)。
開設者自身が管理美容師の条件を満たしている場合は、自分が主として管理する1つの美容所について、管理美容師になることができます(美容師法第12条の3第1項ただし書)。
出典:美容師法 第11条第2項・第12条の2・第12条の3・附則(令和5年法律第52号)第9条第2項、美容師法施行規則 第19条〜第23条(e-Gov法令検索で2026年10月5日に確認)。
立入検査と、
決まりを守らなかったとき
開店したあとも、美容所には立入検査が行われることがあります。
美容師法第14条は、都道府県知事は必要があると認めるときは、職員に美容所へ立ち入らせ、第8条(美容師が講じる措置)と第13条(開設者が講じる措置)の実施の状況を検査させることができる、と定めています。 立入検査をする職員は身分を示す証明書を持っていて、関係者から求められたときは見せることになっています(第14条第2項・第4条の13第2項)。
よく「抜き打ち検査」と呼ばれますが、この条文には、事前に知らせるかどうかは書かれていません。 いつ、どのくらいの頻度で立ち入るかは、自治体の運用によります。 開店したあとも、第8条・第13条の決まりを、ふだんから守っておくことが大切な備えです。
美容師法で決まっている処分と罰則
- 閉鎖命令(第15条):開設者が、管理美容師を置く決まり(第12条の3)や美容所の措置(第13条)に違反したとき、美容師でない人や業務停止中の人に美容をさせたときは、期間を定めて美容所の閉鎖を命じられることがあります。美容師が第8条に違反したときも同じです(開設者が相当の注意と監督を尽くしていた場合を除きます)。
- 美容師の業務停止(第10条第2項):美容師が、政令で定める特別の事情がないのに美容所以外の場所で美容の業をしたとき(第7条)や、施術のたびの措置(第8条)に違反したとき、伝染性の疾病にかかり就業が公衆衛生上不適当と認められるときは、期間を定めてその美容師の業務の停止を命じられることがあります。
- 30万円以下の罰金(第18条):美容師でない人が美容を業としたとき、開設や変更・廃止の届出をしない・うその届出をしたとき、確認を受ける前に美容所を使ったとき、立入検査を拒んだり、妨げたり、忌避したりしたとき、閉鎖の処分に違反したとき。
- 法人や事業主にも罰金(第19条):従業者などがその業務について上の第18条の違反(美容師でない人が美容を業とした場合を除く)をしたときは、行為者のほか、事業主である法人や人にも罰金が科されます。
出典:美容師法 第4条の13・第7条・第10条・第14条・第15条・第18条・第19条(e-Gov法令検索で2026年10月5日に確認)。条文の言い回しを読みやすく短くしています。
理容室(理容所)の場合
理容所には理容師法に、同じような定めがあります。 開設・変更・廃止の届出が第11条、使い始める前の検査と確認が第11条の2、管理理容師が第11条の4、理容所の措置が第12条、立入検査が第13条です。 理容室の経営については、理容室の売上と客単価のページでもご案内しています。
出典:理容師法 第11条〜第13条(e-Gov法令検索で2026年10月5日に確認)。
向いていないケースも先にお伝えします
入れてから気づくと、いちばん損をするのはサロン様です。
先に知っておいていただきたいこと
- 売上をお約束することはできません。新しいメニューは、お客様に知っていただくところから始まります。売上は、お客様の数、ご提案できる機会、設定される価格によって変わります。
- 施術の枠を取る必要があります。施術中はお客様おひとりに向き合う形になり、その時間はほかの施術には使えません。予約がすでに埋まり切っているお店では、枠の取り方から考える必要があります。
- 1回で終わるメニューではありません。結んだ人工毛は地毛と一緒に伸びていくため、定期的なメンテナンスが必要です。
- 結ぶための地毛が必要です。地毛がほとんど残っていないお客様には対応できません。その場合は特注WIG・医療用WIGのご提案という選択肢があります。
よくあるご質問
Q美容室を開くとき、保健所の検査はいつ受けるのですか?
A美容師法では、美容所を開設しようとする人は、あらかじめ開設の届出をします(第11条第1項)。そのうえで、構造設備について検査を受け、衛生上の措置(第13条)を講じるのに適している旨の確認を受けた後でなければ、その美容所を使ってはならないとされています(第12条)。届出を出しただけでは、まだお店として使えません。検査の日程の決め方や、確認までにかかる日数は自治体ごとに違うため、内装工事の予定が決まったら、お店のある自治体の窓口に早めにご相談ください。
Q保健所の抜き打ち検査は、本当にあるのですか?
A美容師法第14条は、都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では市長・区長)は、必要があると認めるときは、職員に美容所へ立ち入らせ、美容師やお店が講じる衛生上の措置の状況を検査させることができる、と定めています。この条文には、事前に知らせるかどうかは書かれていません。いつ、どのくらいの頻度で立ち入るかは自治体の運用によります。なお、検査を拒んだり妨げたりすると、30万円以下の罰金の対象になります(第18条第4号)。
Q美容師を新しく雇ったら、届出は必要ですか?
A美容師の氏名と登録番号は、開設届に書く事項です(施行規則第19条第1項第5号)。届け出た事項に変更が生じたときは、すみやかに届け出ることになっています(美容師法第11条第2項)。美容師を新しく使う届出には、その人について、結核、皮膚疾患、そのほか厚生労働大臣が指定する伝染性の疾病があるかないかを書いた医師の診断書を付けます(施行規則第20条)。様式や出し方は、お店のある自治体の案内でご確認ください。
Q管理美容師は、どんなときに置かなければならないのですか?
A美容師である従業者が常時2人以上いる美容所では、美容所ごとに管理美容師を置かなければなりません(美容師法第12条の3第1項)。管理美容師になれるのは、美容師の免許を受けた後3年以上美容の業務に従事し、都道府県知事が指定した講習会の課程を修了した人です(同条第2項)。開設者自身がこの条件を満たしていれば、自分が主として管理する1つの美容所について、管理美容師になることができます。
Q開設届の手数料や、必要な図面はどこで分かりますか?
A美容師法と施行規則で全国共通に決まっている添付書類は、美容師についての医師の診断書と、管理美容師を置く美容所での、その人が条件を満たすことを証する書類です。開設者が外国人の場合は、住民票の写し(国籍等を記載したもの)も添えます(施行規則第19条第2項〜第4項)。手数料の金額や、図面など、それ以外に求められるものは自治体ごとに決まっています。お店のある自治体の窓口や案内でご確認ください。
Q増毛エクステのような新しいメニューを足すとき、届出は必要ですか?
A届出や衛生上の措置が必要かどうかを、当社が判断することはできません。条文で確かめられる範囲では、施行規則第19条で開設届に書く事項に、メニューの一覧は入っていません。ただし、メニューを足すのにあわせて美容師を新しく雇う、設備を入れて構造設備が変わるといった場合は、変更の届出にあたることがあります。また、美容師が美容の業を行うときは、皮ふに接する器具をお客様1人ごとに消毒することが決まっています(美容師法第8条)。迷うときは、その施術を美容師が行う必要があるかどうかも含めて、お店のある自治体の窓口にご確認ください。
- 美容師法(昭和32年法律第163号)https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC1000000163
- 美容師法施行規則(平成10年厚生省令第7号。2026年10月1日施行の改正後のもの)https://laws.e-gov.go.jp/law/410M50000100007
- 理容師法(昭和22年法律第234号)https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000234
- 厚生労働省「理容所及び美容所における衛生管理要領」(昭和56年6月1日 環指第95号。令和6年6月26日 健生発0626第6号で一部改正)https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001403691.pdf