美容師の独立に
必要な届出を、
条文と統計で
順番に整理する
美容師が独立するときに出す届出は、美容所についての届出(美容師法)と、税務署への開業届など(所得税法)に分かれます。
独立の形ごとに何が必要になるかと、出す時期を、条文で確かめて並べました。
- 美容師法・所得税法の原文で確認
- 2026年10月時点の現行の条文
- 厚生労働省「衛生行政報告例」の数字つき
「独立するとき、どこに何を届け出るのか」「開業届はいつまでに出すのか」「面貸しや業務委託で働くときも、届出はいるのか」。そんな疑問に、条文に沿って順にお答えします。 美容師が独立を考えはじめると、手続きの順番で迷いやすくなります。
ここでは、独立のときに出てくる届出を、美容師法・同法施行規則・所得税法の条文に当たって並べ直しました。使った条文は2026年10月12日に現行のものです(e-Gov法令検索で確認)。 あわせて、厚生労働省の統計で、美容所(美容室など)1施設あたりの美容師の人数を見ています。
開業資金の金額、融資、物件の探し方、業務委託契約の中身は、このページでは扱っていません。 様式・手数料・提出先の窓口は、自治体や税務署がそれぞれ案内しています。ここで扱うのは法律と省令に書かれている範囲までで、個別の手続きの代わりにはなりません。
美容師が独立する、
大きく2つの形
自分が美容所の開設者になるかどうかで、出す届出が変わります。
自分で美容所を開く
自分が美容所の開設者になる形です。1人で開く場合も、スタッフを雇って開く場合も同じです。
- 美容所の開設の届出を、あらかじめ自分で出す(美容師法第11条第1項)
- 構造設備の検査を受け、確認を受けた後でなければ美容所を使えない(第12条)
- 個人で事業を始めるなら、税務署に開業届を出す(所得税法第229条)
このページの次の章から、この形を中心に届出を並べます。
ほかの美容所で、契約して働く
面貸しや業務委託などの契約で、ほかの人が開設した美容所で施術する形です。
- 美容所の開設の届出を出すのは、その美容所の開設者
- 美容師は、原則として美容所以外の場所で美容の業をしてはならない(美容師法第7条)
- 個人で事業所得などを生ずべき事業を始めた場合は、税務署への開業届の対象になる(所得税法第229条)。契約で得る収入がどの所得にあたるかは、税務署や税理士に確認
契約の中身(報酬、材料費、責任の範囲など)は契約ごとに違います。契約先とよく確かめてください。
どちらの形でも、施術をする場所は、届出がされた美容所が前提です。 美容師法第7条は、美容師は美容所以外の場所で美容の業をしてはならない、と定めています(政令で定める特別の事情がある場合を除きます)。
形2で働くときに、確かめておきたいこと
美容所の開設の届出には、美容師の氏名と登録番号、そのほかの従業者の氏名を書きます(美容師法施行規則第19条第1項第5号)。 届け出た事項が変わったときは、美容所の開設者がすみやかに届け出ます(美容師法第11条第2項)。美容師を新しく使う届出には、その人の医師の診断書を付けます(施行規則第20条)。
面貸しや業務委託の契約で働く美容師が、この届出でどう扱われるかは、条文だけでは決めきれません。 働きはじめる前に、美容所の開設者が、お店のある自治体の窓口に確認しているかを確かめておくと安心です。
出典:美容師法 第7条・第11条・第12条、美容師法施行規則 第19条・第20条、所得税法 第229条(いずれもe-Gov法令検索で2026年10月12日に確認)。条文の言い回しを読みやすく短くしています。
独立までの届出を、
時期の順に並べる
自分で美容所を開く場合(形1)を、個人で開業するときの例で並べます。
美容所の開設届
開く前に・美容師法第11条
検査と確認
使い始める前に・第12条
税務署への開業届
確定申告の期限まで・所得税法第229条
人を雇ったら
変更の届出など・第11条第2項ほか
自分のお店を持つ場合、美容所の手続きで最初に来るのは美容所の開設の届出で、開設する「前」に出します(美容師法第11条第1項)。 届けたあとも、構造設備の検査と確認が済むまではお客様を迎えられない点が、独立の日程を組むうえでの要になります(第12条)。
美容所の開設届(美容師法第11条第1項)
提出先は、お店の所在地の都道府県(保健所を設置する市・特別区なら、その市・区)です(施行規則第19条)。開設者である自分の氏名に加えて、働く美容師の登録番号や開設予定年月日も書き、医師の診断書を添えます。何をそろえるかの細部は自治体の案内に従います。
構造設備の検査と確認(美容師法第12条)
独立の日程でずれやすいのがここです。確認の前に営業を始めると、30万円以下の罰金の対象です(第18条)。物件の引き渡し、内装の完成、検査、開店の日付は、物件を決めた段階で窓口に相談しておくと逆算しやすくなります。
税務署への開業届(所得税法第229条)
個人で新たに事業所得を生ずべき事業を始めたときに出す届出です。出す期限は、次の章でくわしく見ます。青色申告を選ぶ場合は、別に承認の申請が必要です(第144条)。
人を雇ったとき
美容師を新しく雇ったときは、美容所の開設者が変更の届出をします(美容師法第11条第2項・施行規則第20条)。給与の支払の事務を取り扱う事務所を設けたときは、その日から1か月以内に税務署へ届け出ます(所得税法第230条)。労働保険・社会保険などの手続きもあるので、それぞれの窓口の案内でご確認ください。
都道府県や市町村の税(個人事業税など)についても、事業を始めたときの届出を求めている自治体があります。期限や様式は自治体ごとに違うため、お店のある自治体の案内でご確認ください。
保健所側の手続き(届出書の項目、検査で見られる衛生の決まり、開店後の立入検査)は、美容室と保健所の検査・届出のページにまとめています。
出典:美容師法 第11条・第12条・第18条、美容師法施行規則 第19条・第20条、所得税法 第144条・第229条・第230条(いずれもe-Gov法令検索で2026年10月12日に確認)。条文の言い回しを読みやすく短くしています。
独立したあとの
メニューづくりも、
資料でご案内しています。
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税務署への開業届と、
青色申告の申請
開業届の期限は、2026年1月1日から変わっています。
開業届(所得税法第229条)
所得税法第229条は、国内で新たに事業所得などを生ずべき事業を始めた人は、その旨などを書いた届出書を税務署長に出さなければならない、と定めています。 出す期限は、その事実があった日の属する年分の所得税の確定申告期限までです。
この期限は、令和5年の所得税法の改正(令和5年法律第3号)で変わったもので、2026年1月1日以後に事業を始めた場合に当てはまります。 改正前の第229条では「その事実があった日から1か月以内」で、2025年12月31日までに始めた事業には、前の決まりが当てはまります(令和5年法律第3号附則第10条)。
確定申告の期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです(所得税法第120条)。つまり2026年1月1日以後に事業を始めた場合の開業届の期限は、原則として事業を始めた年の翌年3月15日です(同法第2条第1項第41号・第120条)。 期限の日が土曜日・日曜日・祝日にあたる年の扱いは、国税庁の案内でご確認ください。
青色申告の承認の申請(所得税法第144条)
青色申告を選ぶ場合は、開業届とは別に、承認の申請書を出します。 出す期限は、その年の3月15日までです。ただし、その年の1月16日以後に新たに業務を始めた場合は、業務を始めた日から2か月以内です。
開業届の期限は2026年から長くなりましたが、青色申告の申請(第144条)は、この改正の対象になっていません。 「開業届と一緒に出せばいい」と後回しにすると、青色申告の申請の期限が先に来ることがあります。 どちらを選ぶか、いつ出すかは、税務署や税理士にご確認ください。
期限の起算点に気をつけたいところ
- 開業届・青色申告の申請は、条文の上では「事業(業務)を始めた日」が基準です。お店の開店日と同じ日になるとは限りません。開店が2026年でも、事業を始めた日が2025年中なら、開業届は改正前の期限(その事実があった日から1か月以内)になります。
- 給与の支払の事務を取り扱う事務所の開設の届出(所得税法第230条)の期限は、現行の条文では、その事実があった日から1か月以内です。改正前の第230条は、同じ事実について第229条の届出書(開業届など)を出すべき場合を、この届出から除いていましたが、2026年1月1日以後に生じた事実には、この除外がありません(令和5年法律第3号附則第10条)。
- このページは個人で開業する場合の条文をまとめています。法人を作って開業する場合は、税務署などに出す届出が違います。
出典:所得税法 第2条・第120条・第144条・第229条・第230条、附則(令和5年法律第3号)第10条、改正前の第229条・第230条(2025年12月31日までに生じた事実に当てはまる条文。e-Gov法令検索の2025年12月18日施行の版)。いずれもe-Gov法令検索で2026年10月12日に確認しました。条文の言い回しを読みやすく短くしています。
独立したあとの人数と、
管理美容師
統計の数字から計算すると(当社計算)、美容所1施設あたりの美容師は平均約2.1人です。
数字は2024年度末現在。1施設あたりは、3D増毛研究会が美容師の数÷施設数で計算した平均です。
美容所の数と、そこで働く美容師の数は、厚生労働省の衛生行政報告例で各年度末の値が公表されています。 2024年度末は、美容所が27万7,752施設、美容師が58万8,291人。施設数で割った平均(3D増毛研究会の計算)は2.12人です。都道府県ごとに同じ計算をすると、1施設あたりの人数が2人に届いていないのは、47都道府県のうち36道県でした(同じく当社計算)。
平均なので、何人のお店がいくつあるかまでは、この統計には出ていません。 数字の動きや都道府県ごとの差は、美容室の人手不足を統計から見直すページでくわしくご案内しています。
美容師が「常時2人以上」になると、管理美容師が必要です
独立して1人で始めたお店も、美容師を雇って美容師である従業者が常時2人以上になると、開設者が管理美容師を置く決まりです(美容師法第12条の3第1項)。開設者自身が人数に入るかなど、数え方で迷うときは窓口にご確認ください。 条件は免許を受けてから3年以上の美容の業務と、都道府県知事が指定した講習会の修了の2つです(同条第2項)。
開設者である自分が2つの条件を満たしていれば、自分で主に管理する1店について、自分が管理美容師を兼ねられます(同条第1項ただし書)。 いずれ人を雇うつもりなら、講習会を自分が受けておくのか、雇う人にお願いするのかを、独立の前後で考えておくと雇うときに迷いにくくなります。
出典:厚生労働省「衛生行政報告例(令和6年度)」の付表-1・第10表を加工して作成(2026年10月12日に確認)。ここでいう美容師は、表の「従業美容師数」の人数です。美容師法 第12条の3(e-Gov法令検索で2026年10月12日に確認)。
向いていないケースも先にお伝えします
入れてから気づくと、いちばん損をするのはサロン様です。
先に知っておいていただきたいこと
- 売上をお約束することはできません。新しいメニューは、お客様に知っていただくところから始まります。売上は、お客様の数、ご提案できる機会、設定される価格によって変わります。
- 施術の枠を取る必要があります。施術中はお客様おひとりに向き合う形になり、その時間はほかの施術には使えません。予約がすでに埋まり切っているお店では、枠の取り方から考える必要があります。
- 1回で終わるメニューではありません。結んだ人工毛は地毛と一緒に伸びていくため、定期的なメンテナンスが必要です。
- 結ぶための地毛が必要です。地毛がほとんど残っていないお客様には対応できません。その場合は特注WIG・医療用WIGのご提案という選択肢があります。
よくあるご質問
Q美容師が独立して自分の店を開くとき、最初に出す届出は何ですか?
Aお店を開く前に出しておく必要があるのが、美容所の開設の届出です。美容所を開設しようとする人は、あらかじめ都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では市長・区長)に届け出ます(美容師法第11条第1項・施行規則第19条)。そのうえで構造設備の検査を受け、確認を受けた後でなければ、その美容所を使ってはならないとされています(第12条)。届出をしないこと、確認の前に使うことは、どちらも30万円以下の罰金の対象です(第18条)。個人で事業を始める場合は、別に税務署への開業届もあります(所得税法第229条)。様式や手数料は自治体ごとに案内されているため、お店のある自治体の窓口でご確認ください。
Q税務署への開業届は、いつまでに出せばいいですか?
A所得税法第229条では、事業を始めた日の属する年分の所得税の確定申告期限までに出すことになっています。この期限は令和5年の改正で変わったもので、2026年1月1日以後に事業を始めた場合に当てはまります。2025年12月31日までに始めた事業には改正前の規定が当てはまり(令和5年法律第3号附則第10条)、改正前の第229条の期限は、その事実があった日から1か月以内でした。青色申告を選ぶ場合の承認の申請は、1月16日以後に業務を始めたときは業務を始めた日から2か月以内で(第144条)、開業届より先に期限が来ることがあります。
Q面貸しや業務委託で働く場合も、美容所の届出は必要ですか?
A美容所の開設の届出を出すのは、その美容所の開設者です。一方で、美容師は政令で定める特別の事情がある場合を除き、美容所以外の場所で美容の業をしてはならないと決まっています(美容師法第7条)。開設の届出には美容師の氏名と登録番号を書き、変わったときは開設者が届け出ます(第11条第2項・施行規則第19条第1項第5号)。面貸しや業務委託の契約で働く美容師がこの届出でどう扱われるかは、条文だけでは決めきれないため、働きはじめる前に、開設者が自治体の窓口に確認しているかを確かめておくと安心です。
Q1人で開業して、あとから美容師を雇うときは何が必要ですか?
A美容所の開設者が変更の届出をし、新しく使う美容師の医師の診断書を付けます(美容師法第11条第2項・施行規則第20条)。美容師である従業者が常時2人以上になると、美容所ごとに管理美容師を置かなければなりません(第12条の3)。開設者自身が人数に入るかなど、数え方で迷うときは窓口にご確認ください。また、開設者が条件(免許を受けた後3年以上の美容の業務と、指定講習会の修了)を満たしていれば、自分が主として管理する1つの美容所について、自分が管理美容師になることもできます。給与の支払の事務を取り扱う事務所を設けたときは、1か月以内に税務署へ届け出ます(所得税法第230条)。労働保険・社会保険などの手続きは、それぞれの窓口の案内でご確認ください。
Q独立したばかりの店で、新しいメニューを足すのは早すぎますか?
Aお店ごとに事情が違うため、一概には言えません。3D増毛エクステの場合は、いまお使いのセット面でそのまま施術でき、人工毛はスタートセットのあとは1個単位でご購入いただけるので、新しい機械やまとまった在庫を用意する必要はありません。一方で、施術中はお客様おひとりに向き合う形になり、施術の枠を取る必要があります。売上は、お客様の数、ご提案できる機会、設定される価格によって変わるため、金額をお約束することはできません。お試しモニターセット(有料)で実際に結んでみてからご判断ください。
Q独立にかかる開業資金は、このページで分かりますか?
Aこのページでは扱っていません。開業資金は、お店の広さや立地、内装、設備の選び方で大きく変わります。このページでご案内しているのは、独立のときに出す届出の種類と時期、統計で見た美容所1施設あたりの人数までです。当社のメニューを導入する場合の費用は、導入費用・料金のページでご案内しています。
- 美容師法(昭和32年法律第163号)https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC1000000163
- 美容師法施行規則(平成10年厚生省令第7号)https://laws.e-gov.go.jp/law/410M50000100007
- 所得税法(昭和40年法律第33号)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- 厚生労働省「衛生行政報告例(令和6年度)」の「付表-1 興行場・旅館業・公衆浴場・理容-美容所・クリーニング業数,年次別」「第10表 理容-美容所の施設数・従業理容-美容師数・施設の使用確認件数・閉鎖命令件数,都道府県-指定都市-中核市(再掲)別」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450027&tstat=000001031469&cycle=8&tclass1=000001230765&tclass2=000001230766&tclass3=000001233902&layout=datalist&tclass4val=0 を加工して作成。1施設あたりの人数と、都道府県ごとの人数は3D増毛研究会が計算しています。